今後の経済はどうなってしまうのか?
ユーロのみならず、FXで投資をする人にとってはPIGS諸国の経済状況は目が離せないところでしょう。
PIGS諸国とは南ヨーロッパのポルトガル(P)イタリア(I)ギリシャ(G)スペイン(S)の総称で、経済的に不安定要素を持っている点に絡めて英語で豚という意味のPIG(s)と、いささか軽蔑するような意味合いで使われています。
この南欧諸国のうち、現在特に問題になっているのがPIGSのG、つまりギリシャ経済です。ギリシャはEUから多額の金融支援を受けて財政再建を進めつつありましたが、財政再建策の見直しを公約にした新政権の誕生により緊縮政策の見直しがにわかに現実味を帯びてきました。
EUとの協議が決裂した場合にはギリシャはユーロ圏にありながら対外債務を返済できなくなるため、ユーロの信任もゆらぐ可能性があります。過去には2011年以降、ギリシャの債務不履行の可能性が取りざたされるたびに乱高下を繰り返してきました。
近年の円安傾向もあり、平成24年初頭に1ユーロ100円を割り込んでいたユーロは、現在1ユーロ130円台後半となっています。3年前から比べれば円安に推移しているわけですが、このことから逆張り中心のテクニカル指標で週足や月足での値動きに注目している人には、ユーロは高値圏、またはユーロ売りのシグナルを読み取る人も出てくるでしょう。
しかし、テクニカル指標ではなくあくまで実体経済や政治状況に注目しても、現時点でユーロが続伸するよりは下値リスクのほうが高いと考えられます。
2月20日、ユーロ圏財務相会議ではギリシャへの金融支援の延長が合意されました。しかしながら、金融支援の延長は4ヶ月間と、暫定的なものであることに注目する必要があります。逆に考えれば、あと4ヶ月でさらなる支援枠組みの確定にむけて協議が進まないならユーロ下落の可能性が高まるでしょう。
問題はギリシャだけではありません。中近東の地図を見ると、ギリシャ-トルコ-シリア・イラクが案外近い、ということに日本人は改めて気づくでしょう。イスラミック・ステート(通称IS)がシリア・イラク領内で勢力を拡大しつつあることは日本人誘拐殺害事件をきっかけに日本でも注目されるようになりました。
労働力や製品の移動、という意味でEUに隣接し密接に関係を持つイスラム教国トルコの存在はイスラミックステートに対する防波堤として機能していますが、トルコはギリシャの隣国で、キプロスへの支配権をめぐってギリシャと争っている国でもあります。中近東と南ヨーロッパは別々というより、案外近くて関係が深い、というのは歴史からも明らかで、いまのPIGS諸国は17世紀まで、北アフリカ~トルコ一帯から出現するイスラム教徒の海賊の脅威にさらされ続けてきたのです。
ユーロへの投資判断に際しては、ユーロ圏、特に南欧のPIGS諸国とこの国々が境を接するイスラム教国の状況に注意を払い、引き続き乱交下、というよりユーロ急落に備える必要があるでしょう。
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